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スキン・トゥ ・スキン

最近、息子はもう生後2ヶ月を過ぎて少しずつ外出も出来るようになり、親子二人で町内の子育支援グループの集まりに参加し始めた。他のお母さん達の育児体験を聞いたり、ママ友を作ったりするのにも良いし、もちろん息子も他の赤ちゃんと交流が出来るようになれば楽しいのではないかと。

何人かのお母さん達と話すことができて、会話をしているうちにあることに気づいた。毎週集まるメンバーが違うらしいが、たまたまその日来ていたお母さん達のなかで唯一、助産院で出産をしたのは私。それが珍しいのか、助産院についてたくさんの質問をされた。同時に私は病院での出産経験がまったくないため、病院でのお産がどう違うのか、色々知ることができた。

その日の集まりで、たまたま隣に座っていたCさん・・・とってもキュートな双子の女の子のお母さん。彼女は30週で切迫早産となり緊急帝王切開で双子ちゃんを出産したそう。

「もう、大変だったわ。もっとも、生まれた直後が一番悲しかったの。未熟児で生まれてしまったからNICU(新生児の集中治療室)に連れて行かれてね・・・」

このCさんは、母乳育児をする意思でいたので、出産直後、双子ちゃんにオッパイをあげたかったと話している。

赤ちゃんが裸のまま、お母さんの胸の上に抱かれながら乳首を吸うことによって、母乳を作るホルモンが活性化させられる。初乳が出るまで数日かかるが、赤ちゃんが吸えば吸うほどお母さんのカラダは母乳の分泌が良くなるとか。

それだけではない。すごく温かい、心地のいいお母さんのお腹の中から突然、眩しくて音の大きい世界に出てきた赤ちゃんにとって、お母さんの肌の温もりを感じることは非常に大事。お産で「ショック」を受けた赤ちゃんの呼吸や心拍数を安定させ、又、お母さんと赤ちゃんが強い絆を作るための大事な最初のステップでもある。

「一ヶ月以上もNICUに入院して、結局スキン・トゥ ・スキンも授乳は出来なかったの。それどころか、退院した後オッパイをあげても全然受けつけてくれなかったの。NICUにいた時はたくさんのチューブや点滴に繋げられてシリコンのおしゃぶりもしてたし・・・なんとかオッパイをあげたくて6ヶ月も頑張ったけど、やっぱり駄目で。それがすごく絶望的で辛かったわ。」

一秒でも早く抱いて授乳したい。でも自力では息が出来ないくらいの小さな命・・・自分から離れた別の部屋で、状態が早く安定してママに会えるまでは何とか乗りきろうと頑張っている。

この時のお母さんの気持ちはとても複雑だったと思うと胸が痛む・・・

自分の助産院での経験を振り返ると本当に恵まれた環境で息子を迎えることが出来たと実感している。生まれた!と思ったら、臍帯がまだ繋がったまま、すぐ私の胸に息子はのせられた。臍帯を切ったり、会陰を縫う処置なども全部そのままの状態で行われ、こうして初めてのオッパイもあげることが出来た。

「赤ちゃんの体重を測ったりするのは、後ででいいから、今はゆっくりスキン・トゥ ・スキンで赤ちゃんと休んでね。何かあったら声をかけて下さい。おめでとう!」といってお産婆さんは部屋を出て4、5時間ぐらい戻って来なかった。その間、息子はずっと私の胸の上で過ごした。リラックスしながら新しい我が子を満喫することが出来てとても貴重な時間だった、今思うと。これが、私から離されて新生児室に連れて行かれたのであれば、気分は全然違ったと思う。

病院でのCさん、直接母乳が出来ない間、ポンプで一生懸命搾乳したそうだ。退院後、何ヶ月もオッパイをあげようと努力をしたが双子ちゃんに拒否された。母乳育児を目指してやる気満々でいたのに、授乳を拒否されてしまうのは、私だったらすごく落ち込んだと思う。

「でも、いいの!オッパイが無理なら、ポンプがあるし搾乳すればいいんだと思ったの。自分の望んでいた直接母乳じゃないけれど、、、悩んでる時間もなかったし・・・もうそれしか方法がないって決心したのよ、双子ちゃんのために!」

予想外の現実にめげずに常に我が子のために何がベストなのか考え、適切なアプローチをとった立派なCさん。彼女の決心、心構え、見習いたいと思います。

そして、どんなことがあっても、やっぱり母の愛は強し・・・

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