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ブログ
10.142015
あなたの子供はちゃんと聞いている

20年以上前の元旦、親戚一同が集まる食事会でのこと。
場所は父の一番上の兄にあたる伯父さんの家。
おかずがびっしり並ぶ長いテーブルをみんなで囲み、久しぶりに会う叔父たちに名前を呼び間違えられながらお年玉をもらってはジョークを交わしながら楽しい時間を過ごしていた。父は兄弟たちと様々な世間話をあーじゃない、こうじゃないと言ってる間、母は親戚の女性群と一緒にせっせと台所で食事の手伝いをしていた。
美味しいおせち料理をいっぱい食べて、そろそろお腹がいっぱいになってきた私。そこへ、汚いお皿をさげるためにおぼんを持った従姉妹のおねえさんが私の後ろを通りかかり、私にこう言った:「お米は神様だから、一粒残さずに食べるんだよ」。
目の前のお椀をみたら、二口ぐらいの量を中途半端に残してしまっていた。
その時、ふーんって思った記憶はあるが、実際にご飯を一粒残さず食べたのかは覚えていない。
重要なポイントは、おねえさんがその時私に言ったことがあれから何故かずっと頭に残ったこと。高校生になり、社会に出てからも、ご飯を食べる時は必ず一粒残さず全部食べる習慣が身についた。。むしろ、お椀がツルツルに見えるまできれいに食べないと気がすまなくなってしまった。
よく、世間でお母さんやお父さんが小さい子供に一生懸命何かを教えたり、あることを説得させたり、悪さをしたから叱ったりする光景を目にする。その時子供が何かに気をとられていたり聞いてなさそうな態度でも諦めずに伝えたいことを止めない親は素晴らしいと思う。
昔、こんな経験もしたことがある。
私と兄弟たちが韓国の文化と言葉になじむようにという両親の思いから、夏休みの間ソウル市内の公立の学校にホームステイのような形で、特別に通わせてもらった。当時10才だった私は、それまで英語と日本語の世界でしか生きたことがなく、韓国語の読み書きはできたとしても、しゃべれるのは簡単な挨拶程度だった。このときの経験は、今でも生々しく覚えている。道場の師範のような韓国の担任、カタコト英語で一生懸命コミュニケーションをとろうとする学生、キムチが必ず付いてくる給食(そして残すと必ず先生に怒られた)、とにかく毎日毎日がカルチャーショックだった。
遊ぶはずの夏休みに何でこんな苦労をしないといけないのか・・・これじゃ、まるでお仕置きではないかと兄弟と共にブスブス言いながらたくさん反抗した。
毎日見知らぬ環境と習慣の中、何が何だかよく分からないまま、悩んで、楽しくもない経験を押し付ける親の行為を嫌った。
でも、それが数年の後に初めて、ああ、あの時はこういうことを経験していたんだ、と分かったことが実は私にとって一つの感動だった。今思うと、そのような経験をしたからこそ、私は新しい環境や経験に心惹かれるようになり、もっと色々な場所をみてみたい、違う国に留学してみたい、と思うようになったのだと思う。
幼いときに無意識のうちに感じとっていたことが、大人になってはっきりと理解できた、その時の歓びは忘れられない。
だから、私もこれから自分の子供には様々な経験をさせてあげたいと思っている。同時に、教えるべきことを教える。厳しく叱る時は叱る。人の世の論理を教え込む。大事だと思うことは伝える。
私が両親にしてもらったこと・言われたことが、そのときは意味は分からなくても、潜在意識がちゃんと覚えていて、それが今でも私の思想と行動を形作ってきたように・・・